花粉症
花粉症はスギだけではありませんよ。
気になる眼の病気と症状:14
花粉症
自分の花粉症の原因を知って、できるだけ早目に対処することが大切です。 今年はスギ花粉症が軽症だったと思って安心していませんか。
花粉症はスギだけではありませんよ。
花粉症とアレルギー性結膜炎は同じものですか。
人体にアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)が体内に侵入し、免疫細胞が過敏に反応することによって眼に起こるのがアレルギー性結膜炎です。花粉症とは、植物の花粉が原因で起こるアレルギー反応をいいます。従ってアレルギー性結膜炎の原因には種々の花粉の他、住まいの中にあるほこり(ハウスダスト)などによる通年性アレルギーがあり、花粉症の季節性アレルギーと区別しています。
どのくらいの人が花粉症になっていますか。
スギが代表的なのでスギ花粉症についていいますと、厚生労働省の発表では国民の15%が罹患しており、20~40歳代に限ると50~60%の人がスギ花粉に感作されて、スギ花粉症の予備軍といわれています。
なぜ、そんなにアレルギーが増えたのですか。
次の4つの理由が指摘されています。
(1)住宅環境の変化でカビ・ダニが30年前の1.5倍に増加した。
(2)ペットなどによる抗原が増加した。
(3)食生活が変化した。(肉中心の食事になった。魚の油はアレルギー疾患の発症を抑える効果がある)
(4)妊婦の高カロリー摂取や早い離乳などのため、新生児がアレルギー体質になりやすい。 などがあげられています。
花粉症というとスギを思い起こしますが他にどんなものがありますか。
大崎地区では特に4月ごろから始まるイネ科植物のカモガヤですね。印象では、古川ではスギによる花粉症よりも多いかもしれません。6月がピークを迎えます。9月からはキク科のブタクサ、セイタカアワダチソウ、ヨモギなどがあげられます。田畑、雑木林が多い地域に特に多くみられますね。
なぜ毎年発症するのですか。
一般的に抗原が体に入り込むと同じ病気になりにくくなる善玉の<免疫>ができる場合とそうでない悪玉<アレルギー>になる場合とがあります。
バケツを思い浮かべてください。人がスギ花粉などの抗原と戦うとき、誰もが戦った死骸を入れるためのバケツをもっています。いつも平和だといいのですが、花粉の季節には戦争が始まってしまいます。死骸がある一定の量に達すると、スギ花粉用のバケツがいっぱいになってしまい外にあふれだします。これがアレルギーの発現です。一度いっぱいになったバケツは減ることなくそのままですから毎年抗原がある限り発症することになります。ただ、その年によって飛散量が違うので症状も左右されることになります。スギに関していえば、大量の飛散の翌年には少なくなる傾向があるようです。それを示す図を参考にしてください。それにしても昨年の古川の飛散量は多かったですね。
誰でもなる可能性はありますか。
この世に抗原がある限り、どんな人でも可能性はあります。また、前に述べた(1)~(4)によっても早まる可能性は大きくなりますから日ごろからバランスのとれた食事、適度な運動、充分な睡眠といった規則正しい生活が必要だといわれています。
眼症状はどんなものですか。
痒みが一番です。それに伴う異物感、充血、大量の涙などですね。ただ、メヤニは、はやり目(ウィルス性結膜炎)に比べると少なめです。
花粉症になったらどうしたらいいですか。
バケツから死骸がこぼれ出したらあきらめるしかありません。いかに症状を軽減させるかを考えるしかありません。
一つは薬物療法です。よく耳鼻科でついでに目薬をもらったり、薬局で目薬を購入したりして簡単に片付けている人もいますが、できれば眼科を受診して医師からアレルギーについての考えをしっかりきいておくことが必要ですね。
目薬について教えてください。
日本では現在、約10種類の抗アレルギー点眼薬が使用されていますが、それぞれの特徴をもっています。どれも即効性はいまひとつで使用開始から1~2週間後に効果が現れだします。ですから症状が発現して来院した方には即効性のあるステロイド点眼薬を併用しなければなりません。ステロイド点眼薬は即効性はありますが、眼圧の上昇をきたしたり、小児にたいする使用が難しいなど使用にあたって充分な管理が必要になります。
その他に気をつけることはなんですか。
当然のことですが、抗原となるものにふれることをできる限り避けることです。外出の機会を減らし、また外出する際にはマスク、眼鏡(花粉症用の保護眼鏡であればより良い)表面の毛羽立った衣服の着用を避ける、家に入る際には十分に衣類のほこりを払いとるといったことでしょうか。また、自分が何の花粉に対してアレルギーをもっているのか充分に知ることが大切です。痒みがあるといつでもスギだと勘違いしている人もたくさんいますね。
目薬の使い方を教えてください。
まず自分が何のアレルギーであるか知ることです。当院でも希望なさる方には抗原の検査を行っています。それからその抗原の発症時期を知ることですね。人によって同じスギでも発症時期がそれぞれ違いますので、メモをとったりカレンダーにつけておかれたらいいでしょう。前にも話しましたように一度なったら程度の差はあっても毎年でますので、翌年からは発症予想時期のおよそ2週間前から使用開始されるのが良いでしょう。抗アレルギー点眼薬の基本は結膜に薬でバリケードを作ってあげて、アレルギー反応をできる限り抑えこんでしまおうという考えだからです。また、決まった回数を点眼することも大切ですね。痒みがある時だけの点眼ではなかなか花粉症に太刀打ちできません。
最後にコンタクトレンズを使用している人はどうしたらいいですか。
コンタクトの種類によって目薬をつけられないものもありますので、まず医師の指示に従いましょう。私がお勧めしているのは、花粉症のひどい時期だけでもワンデータイプを使用することです。また、コンタクトの洗浄の際、すぐこすり洗いするのではなく、流水でよく表面を洗い流したあと通常のクリーニングに入ることも大切です。
最後になりましたが、スギ花粉が終わって安心しないでください。これから強敵のカモガヤがやってきますよ。
カモガヤ(イネ科:多年草)
明治の初期にヨーロッパより牧草として輸入されたものが広く野生化し、現在では空き地、土手、あぜ道など至る所でみられます。飛散時期は5~7月、早期に花粉を飛散させ、その花粉はスギより抗原性が強いと言われています。
花粉症とアレルギー性結膜炎は同じものですか。
人体にアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)が体内に侵入し、免疫細胞が過敏に反応することによって眼に起こるのがアレルギー性結膜炎です。花粉症とは、植物の花粉が原因で起こるアレルギー反応をいいます。従ってアレルギー性結膜炎の原因には種々の花粉の他、住まいの中にあるほこり(ハウスダスト)などによる通年性アレルギーがあり、花粉症の季節性アレルギーと区別しています。
どのくらいの人が花粉症になっていますか。
スギが代表的なのでスギ花粉症についていいますと、厚生労働省の発表では国民の15%が罹患しており、20~40歳代に限ると50~60%の人がスギ花粉に感作されて、スギ花粉症の予備軍といわれています。
なぜ、そんなにアレルギーが増えたのですか。
次の4つの理由が指摘されています。
(1)住宅環境の変化でカビ・ダニが30年前の1.5倍に増加した。
(2)ペットなどによる抗原が増加した。
(3)食生活が変化した。(肉中心の食事になった。魚の油はアレルギー疾患の発症を抑える効果がある)
(4)妊婦の高カロリー摂取や早い離乳などのため、新生児がアレルギー体質になりやすい。 などがあげられています。
花粉症というとスギを思い起こしますが他にどんなものがありますか。
大崎地区では特に4月ごろから始まるイネ科植物のカモガヤですね。印象では、古川ではスギによる花粉症よりも多いかもしれません。6月がピークを迎えます。9月からはキク科のブタクサ、セイタカアワダチソウ、ヨモギなどがあげられます。田畑、雑木林が多い地域に特に多くみられますね。
なぜ毎年発症するのですか。
一般的に抗原が体に入り込むと同じ病気になりにくくなる善玉の<免疫>ができる場合とそうでない悪玉<アレルギー>になる場合とがあります。
バケツを思い浮かべてください。人がスギ花粉などの抗原と戦うとき、誰もが戦った死骸を入れるためのバケツをもっています。いつも平和だといいのですが、花粉の季節には戦争が始まってしまいます。死骸がある一定の量に達すると、スギ花粉用のバケツがいっぱいになってしまい外にあふれだします。これがアレルギーの発現です。一度いっぱいになったバケツは減ることなくそのままですから毎年抗原がある限り発症することになります。ただ、その年によって飛散量が違うので症状も左右されることになります。スギに関していえば、大量の飛散の翌年には少なくなる傾向があるようです。それを示す図を参考にしてください。それにしても昨年の古川の飛散量は多かったですね。
誰でもなる可能性はありますか。
この世に抗原がある限り、どんな人でも可能性はあります。また、前に述べた(1)~(4)によっても早まる可能性は大きくなりますから日ごろからバランスのとれた食事、適度な運動、充分な睡眠といった規則正しい生活が必要だといわれています。
眼症状はどんなものですか。
痒みが一番です。それに伴う異物感、充血、大量の涙などですね。ただ、メヤニは、はやり目(ウィルス性結膜炎)に比べると少なめです。
花粉症になったらどうしたらいいですか。
バケツから死骸がこぼれ出したらあきらめるしかありません。いかに症状を軽減させるかを考えるしかありません。
一つは薬物療法です。よく耳鼻科でついでに目薬をもらったり、薬局で目薬を購入したりして簡単に片付けている人もいますが、できれば眼科を受診して医師からアレルギーについての考えをしっかりきいておくことが必要ですね。
目薬について教えてください。
日本では現在、約10種類の抗アレルギー点眼薬が使用されていますが、それぞれの特徴をもっています。どれも即効性はいまひとつで使用開始から1~2週間後に効果が現れだします。ですから症状が発現して来院した方には即効性のあるステロイド点眼薬を併用しなければなりません。ステロイド点眼薬は即効性はありますが、眼圧の上昇をきたしたり、小児にたいする使用が難しいなど使用にあたって充分な管理が必要になります。
その他に気をつけることはなんですか。
当然のことですが、抗原となるものにふれることをできる限り避けることです。外出の機会を減らし、また外出する際にはマスク、眼鏡(花粉症用の保護眼鏡であればより良い)表面の毛羽立った衣服の着用を避ける、家に入る際には十分に衣類のほこりを払いとるといったことでしょうか。また、自分が何の花粉に対してアレルギーをもっているのか充分に知ることが大切です。痒みがあるといつでもスギだと勘違いしている人もたくさんいますね。
目薬の使い方を教えてください。
まず自分が何のアレルギーであるか知ることです。当院でも希望なさる方には抗原の検査を行っています。それからその抗原の発症時期を知ることですね。人によって同じスギでも発症時期がそれぞれ違いますので、メモをとったりカレンダーにつけておかれたらいいでしょう。前にも話しましたように一度なったら程度の差はあっても毎年でますので、翌年からは発症予想時期のおよそ2週間前から使用開始されるのが良いでしょう。抗アレルギー点眼薬の基本は結膜に薬でバリケードを作ってあげて、アレルギー反応をできる限り抑えこんでしまおうという考えだからです。また、決まった回数を点眼することも大切ですね。痒みがある時だけの点眼ではなかなか花粉症に太刀打ちできません。
最後にコンタクトレンズを使用している人はどうしたらいいですか。
コンタクトの種類によって目薬をつけられないものもありますので、まず医師の指示に従いましょう。私がお勧めしているのは、花粉症のひどい時期だけでもワンデータイプを使用することです。また、コンタクトの洗浄の際、すぐこすり洗いするのではなく、流水でよく表面を洗い流したあと通常のクリーニングに入ることも大切です。
最後になりましたが、スギ花粉が終わって安心しないでください。これから強敵のカモガヤがやってきますよ。
カモガヤ(イネ科:多年草)
明治の初期にヨーロッパより牧草として輸入されたものが広く野生化し、現在では空き地、土手、あぜ道など至る所でみられます。飛散時期は5~7月、早期に花粉を飛散させ、その花粉はスギより抗原性が強いと言われています。