レーザー治療
これはこれまで治療ができなかった部分を治療できたり、手術をしなければ治せなかった病気を治療できる方法です。レーザー治療とは実際にどのようなものなのかを伺ってみました。
気になる眼の病気と症状:9
レーザー治療
レーザーを使った治療が眼科では多く行われています。
これはこれまで治療ができなかった部分を治療できたり、手術をしなければ治せなかった病気を治療できる方法です。レーザー治療とは実際にどのようなものなのかを伺ってみました。
レーザーとは何ですか。
Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字を取ってLASER(レーザー)と読ませています。これはある種の方法で光エネルギーを強くしたものというようなことです。
レーザーの特徴はエネルギーが強く、方向が一定で純粋な色に近いのです。普通の光、例えば蛍光灯や電球の光はいろいろな色が混ざっているために色が無く透明ですが、レーザーは混ざり気の少ない光なのでレーザーの種類によって緑や赤など決まった色になります。
眼科で扱うレーザーにはどういうものがありますか?
レーザーにはレーザーの元となる物質によってさまざまな種類があります。眼科で多く使われているレーザーは網膜や虹彩などに使われているアルゴンレーザー、水晶体に使われるYAG(ヤグ)レーザー、近視矯正手術など角膜に使われるエキシマレーザーなどがあります。
レーザー治療はどのように行われていますか?
レーザー治療では、治療を受ける方は椅子に座り、通常の診察の時のように器機に顔を乗せます。眼にコンタクトレンズのようなものを乗せて治療を受けます。
レーザー治療にはどのような危険性がありますか?
レーザーなどと聞くと、光線銃、殺人光線などと物騒な発想が出てきますが、確かにレーザーは非常に高いエネルギーを持ったものですので、人間の体を傷つけることが可能です。ただし、眼科で使うレーザーは直径0.2ミリ~7ミリと非常に小さな面積でしか光を出すことが出来ず、またレーザーの種類によって壊すことの出来る部分は決まっています。例えば網膜に使うアルゴンレーザーは角膜や水晶体に影響はありませんし、角膜に使うエキシマレーザーは角膜より奥にある水晶体や網膜に影響を与えることはありません。
ただし、レーザーは当たった場所を壊してしまいますので、レーザー治療中は目を動かさないように気をつけなければなりません。急に目を動かしたり眼がきょろきょろ動いていたりすると目標からずれた場所にレーザーが当たってしまい、視力低下の原因になる場合もあります。ぼんやりと正面を見ている状態が良いです。
どのような病気の時にレーザー治療を行いますか?
さまざまな網膜の病気、白内障の手術後に起こる後発白内障、緑内障の一部、近視、乱視、角膜の濁りなどです。
後嚢切開
後発白内障
白内障の手術ではほとんどの場合、手術で取り除いた濁った水晶体の代わりに眼内レンズという人工のレンズを目の中に入れますが、このレンズを入れるために水晶体の一番外側の薄い膜を手術の時には残しておきます。この残した薄い膜が手術後に濁ってきて、再び視力が下がる場合が20~30%あります。この濁った膜にレーザーを使って小さな穴を開けて濁りを取り除きます。 この治療の後は、穴を開けた時に出来るくずによって、しばらく、もやもやとしたものが見える場合がありますが、多くは一時的です。
網膜光凝固
糖尿病網膜症
主に、これから悪くなる部分にレーザーを当てます。網膜に水膨れを起こしている部分があればそこにもレーザーを当てます。治療は網膜を壊すことになりますので、視力が良くなることは無く、むしろ悪くなることもありますが、治療の一番の目的は失明しないようにすることで、病気の進行を止めることにあります。多くの場合、片目を2回に分けて、左右交互に1週間感覚で治療します。多い時には1回の治療で300回くらいのレーザー照射をします。
網膜中心静脈閉塞症
血管が詰まり、異常な血管が出来そうな場所や水膨れの強い所にレーザーを照射します。治療の目的は新しい出血を予防したり、水膨れを無くし早く落ち着かせることです。
網膜裂孔
網膜に空いた孔から網膜の裏側に水が回って網膜剥離になるのを予防するためにレーザー治療をします。空いた孔は塞ぐことが出来ませんが、孔の周りにレーザーを当てて、孔から裏側に水が入りにくくして網膜剥離を予防することが目的になります。
[右写真]網膜裂孔に対する光凝固。濃い赤の部分が網膜の裂け目(網膜裂孔)です。この裂け目を囲むようにレーザー(黄白色の丸い部分)を照射します。赤い線は血管です]
網膜細動脈瘤
網膜の動脈に瘤のような変形を起こしている場合があります。変形した部分から出血を起こすと、急激な視力低下につながります。レーザーを使って異常な血管を壊し、出血の再発を予防します。
虹彩光凝固
緑内障のうち急に眼圧が高くなり、見えにくくなったり、目が痛くなったりする急性緑内障や急性緑内障になりやすい状態の方に行います。虹彩と呼ばれる茶目の部分にレーザーを照射して小さな孔を開けて、目の中の水(房水)の流れを良くします。
隅角光凝固
緑内障のうち目の中の水(房水)が目の外に出る部分の隅角と言うところで房水の流れの悪い場合に行います。隅角にレーザーを照射して房水の流れを良くします。
レーザー治療に入院は必要ですか?
レーザー治療は全て外来で行っていて、入院の必要はありません。治療直後は見えにくくなる場合もありますが、多くは片目だけの治療ですので、治療後すぐに帰宅できます。
痛くないですか?
治療中の痛みを感じる方は少ないです。中には痛みを感じる方もいらっしゃいます。また、痛みを感じる時と感じない時がある方もいらっしゃいます。
治療後、生活する上で注意することはありますか?
治療後に見えにくくなる場合がありますが、一時的な場合が多く、入浴、食事など通常通りの生活が出来ます。
以上、レーザー治療について簡単にまとめてみました。どんな病気にもレーザー治療が行えるわけではありませんし、病気の種類や状態によって治療の目的や期待できる効果が違っています。治療の前には担当医から充分な説明を受けてから治療を受けることをお勧めします。
レーザーとは何ですか。
Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字を取ってLASER(レーザー)と読ませています。これはある種の方法で光エネルギーを強くしたものというようなことです。
レーザーの特徴はエネルギーが強く、方向が一定で純粋な色に近いのです。普通の光、例えば蛍光灯や電球の光はいろいろな色が混ざっているために色が無く透明ですが、レーザーは混ざり気の少ない光なのでレーザーの種類によって緑や赤など決まった色になります。
眼科で扱うレーザーにはどういうものがありますか?
レーザーにはレーザーの元となる物質によってさまざまな種類があります。眼科で多く使われているレーザーは網膜や虹彩などに使われているアルゴンレーザー、水晶体に使われるYAG(ヤグ)レーザー、近視矯正手術など角膜に使われるエキシマレーザーなどがあります。
レーザー治療はどのように行われていますか?
レーザー治療では、治療を受ける方は椅子に座り、通常の診察の時のように器機に顔を乗せます。眼にコンタクトレンズのようなものを乗せて治療を受けます。
レーザー治療にはどのような危険性がありますか?
レーザーなどと聞くと、光線銃、殺人光線などと物騒な発想が出てきますが、確かにレーザーは非常に高いエネルギーを持ったものですので、人間の体を傷つけることが可能です。ただし、眼科で使うレーザーは直径0.2ミリ~7ミリと非常に小さな面積でしか光を出すことが出来ず、またレーザーの種類によって壊すことの出来る部分は決まっています。例えば網膜に使うアルゴンレーザーは角膜や水晶体に影響はありませんし、角膜に使うエキシマレーザーは角膜より奥にある水晶体や網膜に影響を与えることはありません。
ただし、レーザーは当たった場所を壊してしまいますので、レーザー治療中は目を動かさないように気をつけなければなりません。急に目を動かしたり眼がきょろきょろ動いていたりすると目標からずれた場所にレーザーが当たってしまい、視力低下の原因になる場合もあります。ぼんやりと正面を見ている状態が良いです。
どのような病気の時にレーザー治療を行いますか?
さまざまな網膜の病気、白内障の手術後に起こる後発白内障、緑内障の一部、近視、乱視、角膜の濁りなどです。
後嚢切開
後発白内障
白内障の手術ではほとんどの場合、手術で取り除いた濁った水晶体の代わりに眼内レンズという人工のレンズを目の中に入れますが、このレンズを入れるために水晶体の一番外側の薄い膜を手術の時には残しておきます。この残した薄い膜が手術後に濁ってきて、再び視力が下がる場合が20~30%あります。この濁った膜にレーザーを使って小さな穴を開けて濁りを取り除きます。 この治療の後は、穴を開けた時に出来るくずによって、しばらく、もやもやとしたものが見える場合がありますが、多くは一時的です。
網膜光凝固
糖尿病網膜症
主に、これから悪くなる部分にレーザーを当てます。網膜に水膨れを起こしている部分があればそこにもレーザーを当てます。治療は網膜を壊すことになりますので、視力が良くなることは無く、むしろ悪くなることもありますが、治療の一番の目的は失明しないようにすることで、病気の進行を止めることにあります。多くの場合、片目を2回に分けて、左右交互に1週間感覚で治療します。多い時には1回の治療で300回くらいのレーザー照射をします。
網膜中心静脈閉塞症
血管が詰まり、異常な血管が出来そうな場所や水膨れの強い所にレーザーを照射します。治療の目的は新しい出血を予防したり、水膨れを無くし早く落ち着かせることです。
網膜裂孔
網膜に空いた孔から網膜の裏側に水が回って網膜剥離になるのを予防するためにレーザー治療をします。空いた孔は塞ぐことが出来ませんが、孔の周りにレーザーを当てて、孔から裏側に水が入りにくくして網膜剥離を予防することが目的になります。
[右写真]網膜裂孔に対する光凝固。濃い赤の部分が網膜の裂け目(網膜裂孔)です。この裂け目を囲むようにレーザー(黄白色の丸い部分)を照射します。赤い線は血管です]
網膜細動脈瘤
網膜の動脈に瘤のような変形を起こしている場合があります。変形した部分から出血を起こすと、急激な視力低下につながります。レーザーを使って異常な血管を壊し、出血の再発を予防します。
虹彩光凝固
緑内障のうち急に眼圧が高くなり、見えにくくなったり、目が痛くなったりする急性緑内障や急性緑内障になりやすい状態の方に行います。虹彩と呼ばれる茶目の部分にレーザーを照射して小さな孔を開けて、目の中の水(房水)の流れを良くします。
隅角光凝固
緑内障のうち目の中の水(房水)が目の外に出る部分の隅角と言うところで房水の流れの悪い場合に行います。隅角にレーザーを照射して房水の流れを良くします。
レーザー治療に入院は必要ですか?
レーザー治療は全て外来で行っていて、入院の必要はありません。治療直後は見えにくくなる場合もありますが、多くは片目だけの治療ですので、治療後すぐに帰宅できます。
痛くないですか?
治療中の痛みを感じる方は少ないです。中には痛みを感じる方もいらっしゃいます。また、痛みを感じる時と感じない時がある方もいらっしゃいます。
治療後、生活する上で注意することはありますか?
治療後に見えにくくなる場合がありますが、一時的な場合が多く、入浴、食事など通常通りの生活が出来ます。
以上、レーザー治療について簡単にまとめてみました。どんな病気にもレーザー治療が行えるわけではありませんし、病気の種類や状態によって治療の目的や期待できる効果が違っています。治療の前には担当医から充分な説明を受けてから治療を受けることをお勧めします。