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気になる眼の病気と症状:4

加齢黄斑変性

アメリカで成人の中途失明の原因の第1位になっている加齢黄斑変性が日本でも急増しています。現在、有効な治療法がないため、予防や早期発見が鍵になります。加齢黄斑変性の症状や原因などについてまとめました。

気になる眼の病気と症状:4

加齢黄斑変性

アメリカで成人の中途失明の原因の第1位になっている加齢黄斑変性が日本でも急増しています。現在、有効な治療法がないため、予防や早期発見が鍵になります。加齢黄斑変性の症状や原因などについてまとめました。

加齢黄斑変性という名前から考えると、 お年寄りに多いようですが、どんな症状なのでしょうか。

視力が落ちたり、物がゆがんで見えたり、暗く感じたりといった症状が50代以降の人に現れるもので、1970年代までは日本ではあまり見られませんでした。ところが、社会の高齢化に伴い、患者さんが急増しています。厚生省の調査では87年には7500人と推測されたのが、93年には約1万4000人とほぼ倍増です。

成人の中途失明の原因としては、日本では糖尿病網膜症が第1位で、緑内障が続きますが、アメリカでは加齢黄斑変性がトップになっています。全く光りを失うという失明ではありませんが、視野の中心が見えなくなるため、見たいもの、読みたいものが見えず、日常生活にかなりの支障をきたします。日本では欧米とは逆に女性より男性のほうが多いという特徴があり、3分の1の患者さんには、同時にではありませんが、両目に起こります。

黄斑というのは目のどの部分ですか?

黄斑は網膜の真ん中の部分で、物を見る視細胞や光を感じる視細胞が集まっています。(イラスト参照)中でも黄斑の中心部の直径0.2~0.4mmのところ(中心窩)には物を見る視細胞が集中しており、視力検査で測るのはこの中心窩の視力です。中心窩から離れるほどこの視細胞の数は少なくなりますが、周辺部には暗いところで光を感じる視細胞が増えています。

黄斑が変性するとどうなるのでしょう。また、その原因はなんでしょうか。

黄斑変性の最初の症状は、視野の中心が見えにくくなることで、それから物がゆがんで見えるようになります。黄斑にある視細胞は、網膜上で黄斑の下に並んでいる色素上皮細胞の層から栄養を受け、老廃物の排せつを助けてもらっています。また、この色素上皮細胞は、網膜の下にある脈絡膜に栄養補給と老廃物の排せつをしてもらいます。ところが、この脈絡膜の毛細血管の異常などで色素上皮細胞に栄養が行かなくなり、老廃物がたまると、色素上皮細胞に異常が起こり、黄斑も変性していくのです。

黄斑の変性のしかたには2種類あります。色素上皮細胞の機能が落ちて視細胞が壊れ、網膜が地図のように萎縮していく萎縮型(ドライタイプ)と、脈絡膜の血管が伸びて新しい血管を作り、それが弱った色素上皮細胞の間を破って、視細胞の間に入り込んで視細胞を壊す滲出型(ウエットタイプ)です。

いずれも遺伝によるものもありますが、そのほとんどは年齢を重ねることによって起こる変化です。そのため、加齢黄斑変性という名前がついているのです。

2つのタイプはどちらも視力が落ちるのですか。

そうです。ただ、萎縮型は進行が遅く、視力の低下もゆるやかなので、ご本人も気付かないことがよくあります。萎縮した部分が広がって中心窩にかからなければ、視力障害もひどくはなりません。

それに対し、滲出型では、脈絡膜から新しく伸びた血管がもろいため、血液や血液成分が黄斑ににじみ出し、視細胞が傷ついて、急激に視力が落ちることがあるのです。矯正視力で0.1以下というような高度の視力障害になるのは、滲出型が多いですね。

加齢黄斑変性の診断にはどんな検査が行われるのでしょう。

片目ずつ視力と視野の測定をします。とくに中心部の視野の検査は大切です。また、網膜と脈絡膜の間に老廃物がたまっていれば、眼底検査で観察できます。

黄斑に異常があるようなら、蛍光色色素入りの造影剤を腕の静脈から注射し、黄斑の病変や滲出の有無、その程度を見ます(蛍光眼底検査)。X線ではなく、赤外線で撮影する場合もあります。

どのような治療が行われているのでしょうか。

萎縮型は有効な治療法がないこと、進行が遅く、視力障害の程度も高くないことから、積極的な治療は行われません。黄斑に栄養を与える血管の循環をよくしたり、視細胞の機能を助ける薬が使われます。ただし、ときには滲出型に変化することもあるので、定期的に検査を続けなければなりません。

進行が早く、高度の視力障害に至る滲出型では、その状態によって治療が異なります。

新生血管が中心窩にまで届いていなければ、新生血管をレーザー光線でつぶす光凝固療法が一般的です。ただ、周囲の正常な組織も壊されてしまうので、レーザー光線が当たった部分は暗点となって視野が欠けてしまいます。また、新生血管の伸び方によっては破壊できないこともあり、再発の可能性もあります。

中心窩にまで及んでいるケースでは、治療はさらに難しくなります。眼底検査で新生血管の元になっている血管が見つかり、それが中心窩をはずれていれば、その血管をレーザー光線でつぶして、新生血管を枯れさせます。すでに視力がかなり落ち、新生血管が伸び続けている場合には、中心窩でも光凝固療法をし、中心窩の外側で見る訓練をする場合もあります。

ほかにも、新生血管を手術で摘出し、その跡に色素上皮を移植したり、中心窩の位置を動かしたりする方法、肝炎に使われるインターフェロンや放射線で新生血管の血管壁を固定する方法などがありますが、いずれも効果が安定せず、副作用や再発の心配もあって、標準的な治療にはなっていません。

この秋に新しい治療法が厚生労働省で承認されるようですが。

光線力学療法という治療法です。光に感受性を持つ物質を腕の静脈に注射し、それが新生血管に流れて来たときに半導体レーザーを当て、光感受性物質に活性酸素を発生させます。それによって新生血管がふさがれるのです。先に述べた光凝固療法に似ていますが、使用する薬品やレーザーが異なり、新生血管以外の組織へのダメージはほとんどありません。ですから暗点ができることもないのです。

ただ、数回行わなければ効かないこと、レーザーの器機や薬品が高価であることから、大学病院のレベルで行われる治療になります。

当院では、平成15年4月に厚生労働省で承認されたサプリメント「オキュバイド」の内服をおすすめしています。黄斑に含まれる色素であるルティンのほか、抗酸化作用があり、炎症を起こしにくくするビタミンC・E、ベータカロテン、プロアントシアニジン、亜鉛・銅・セレン・マンガンが含まれています。健康保険の適応外で、1ヶ月約3,000円くらいです。積極的な治療ではありませんが、病気の進行を遅らせるものと期待しています。又、近々別の種類の薬剤が発売されるという情報もあります。

決定的な治療法がないとすると、予防はできるのでしょうか。

多くの研究から喫煙が加齢黄斑変性の危険因子であることが明らかになってきました。タバコの悪影響や喫煙の効果は長い時間かかって表れるので、タバコは少しでも早く止めるべきです。また紫外線も網膜を傷つけるので避けること。日差しの強い日には外出を控える、紫外線防止作用のあるサングラスや帽子、日傘で避けるなどの工夫をしてほしいですね。

カロチンの摂取量が少ないと発症しやすい傾向があるようですから、緑黄色野菜を多く摂るほうがいいでしょう。ビタミンC、ビタミンE、セレンなど抗酸化作用のある栄養素も多めにしたいものです。これらのことに気を付けていれば、高血圧や高脂血症などほかの生活習慣病の予防にもなります。

加齢黄斑変性は現状では有効な治療法はありませんが、変性部分が小さいうちに見つかれば、光凝固療法などの効果は高まります。やはり早期発見、早期治療が大切です。ときどき見え方を片目ずつチェックし、もし、視野の一部がぼやけたり、物がゆがんで見えたりした場合、年のせいなどと思わないで、受診していただきたいですね。

アムスラーグリッド(ゆがんで見えないかをチェックする線)

 

老眼鏡を使っている人はつけたままで、約33cm(マス目の間隔が5mmに見える程度に)離し、片目ずつ中央の白い点を見つめます。見えないマス目や線がゆがんで見えるところがあれば、その位置を記録し、受診してください。

加齢黄斑変性という名前から考えると、 お年寄りに多いようですが、どんな症状なのでしょうか。

視力が落ちたり、物がゆがんで見えたり、暗く感じたりといった症状が50代以降の人に現れるもので、1970年代までは日本ではあまり見られませんでした。ところが、社会の高齢化に伴い、患者さんが急増しています。厚生省の調査では87年には7500人と推測されたのが、93年には約1万4000人とほぼ倍増です。

成人の中途失明の原因としては、日本では糖尿病網膜症が第1位で、緑内障が続きますが、アメリカでは加齢黄斑変性がトップになっています。全く光りを失うという失明ではありませんが、視野の中心が見えなくなるため、見たいもの、読みたいものが見えず、日常生活にかなりの支障をきたします。日本では欧米とは逆に女性より男性のほうが多いという特徴があり、3分の1の患者さんには、同時にではありませんが、両目に起こります。

黄斑というのは目のどの部分ですか?

黄斑は網膜の真ん中の部分で、物を見る視細胞や光を感じる視細胞が集まっています。(イラスト参照)中でも黄斑の中心部の直径0.2~0.4mmのところ(中心窩)には物を見る視細胞が集中しており、視力検査で測るのはこの中心窩の視力です。中心窩から離れるほどこの視細胞の数は少なくなりますが、周辺部には暗いところで光を感じる視細胞が増えています。

黄斑が変性するとどうなるのでしょう。また、その原因はなんでしょうか。

黄斑変性の最初の症状は、視野の中心が見えにくくなることで、それから物がゆがんで見えるようになります。黄斑にある視細胞は、網膜上で黄斑の下に並んでいる色素上皮細胞の層から栄養を受け、老廃物の排せつを助けてもらっています。また、この色素上皮細胞は、網膜の下にある脈絡膜に栄養補給と老廃物の排せつをしてもらいます。ところが、この脈絡膜の毛細血管の異常などで色素上皮細胞に栄養が行かなくなり、老廃物がたまると、色素上皮細胞に異常が起こり、黄斑も変性していくのです。

黄斑の変性のしかたには2種類あります。色素上皮細胞の機能が落ちて視細胞が壊れ、網膜が地図のように萎縮していく萎縮型(ドライタイプ)と、脈絡膜の血管が伸びて新しい血管を作り、それが弱った色素上皮細胞の間を破って、視細胞の間に入り込んで視細胞を壊す滲出型(ウエットタイプ)です。

いずれも遺伝によるものもありますが、そのほとんどは年齢を重ねることによって起こる変化です。そのため、加齢黄斑変性という名前がついているのです。

2つのタイプはどちらも視力が落ちるのですか。

そうです。ただ、萎縮型は進行が遅く、視力の低下もゆるやかなので、ご本人も気付かないことがよくあります。萎縮した部分が広がって中心窩にかからなければ、視力障害もひどくはなりません。

それに対し、滲出型では、脈絡膜から新しく伸びた血管がもろいため、血液や血液成分が黄斑ににじみ出し、視細胞が傷ついて、急激に視力が落ちることがあるのです。矯正視力で0.1以下というような高度の視力障害になるのは、滲出型が多いですね。

加齢黄斑変性の診断にはどんな検査が行われるのでしょう。

片目ずつ視力と視野の測定をします。とくに中心部の視野の検査は大切です。また、網膜と脈絡膜の間に老廃物がたまっていれば、眼底検査で観察できます。

黄斑に異常があるようなら、蛍光色色素入りの造影剤を腕の静脈から注射し、黄斑の病変や滲出の有無、その程度を見ます(蛍光眼底検査)。X線ではなく、赤外線で撮影する場合もあります。

どのような治療が行われているのでしょうか。

萎縮型は有効な治療法がないこと、進行が遅く、視力障害の程度も高くないことから、積極的な治療は行われません。黄斑に栄養を与える血管の循環をよくしたり、視細胞の機能を助ける薬が使われます。ただし、ときには滲出型に変化することもあるので、定期的に検査を続けなければなりません。

進行が早く、高度の視力障害に至る滲出型では、その状態によって治療が異なります。

新生血管が中心窩にまで届いていなければ、新生血管をレーザー光線でつぶす光凝固療法が一般的です。ただ、周囲の正常な組織も壊されてしまうので、レーザー光線が当たった部分は暗点となって視野が欠けてしまいます。また、新生血管の伸び方によっては破壊できないこともあり、再発の可能性もあります。

中心窩にまで及んでいるケースでは、治療はさらに難しくなります。眼底検査で新生血管の元になっている血管が見つかり、それが中心窩をはずれていれば、その血管をレーザー光線でつぶして、新生血管を枯れさせます。すでに視力がかなり落ち、新生血管が伸び続けている場合には、中心窩でも光凝固療法をし、中心窩の外側で見る訓練をする場合もあります。

ほかにも、新生血管を手術で摘出し、その跡に色素上皮を移植したり、中心窩の位置を動かしたりする方法、肝炎に使われるインターフェロンや放射線で新生血管の血管壁を固定する方法などがありますが、いずれも効果が安定せず、副作用や再発の心配もあって、標準的な治療にはなっていません。

この秋に新しい治療法が厚生労働省で承認されるようですが。

光線力学療法という治療法です。光に感受性を持つ物質を腕の静脈に注射し、それが新生血管に流れて来たときに半導体レーザーを当て、光感受性物質に活性酸素を発生させます。それによって新生血管がふさがれるのです。先に述べた光凝固療法に似ていますが、使用する薬品やレーザーが異なり、新生血管以外の組織へのダメージはほとんどありません。ですから暗点ができることもないのです。

ただ、数回行わなければ効かないこと、レーザーの器機や薬品が高価であることから、大学病院のレベルで行われる治療になります。

当院では、平成15年4月に厚生労働省で承認されたサプリメント「オキュバイド」の内服をおすすめしています。黄斑に含まれる色素であるルティンのほか、抗酸化作用があり、炎症を起こしにくくするビタミンC・E、ベータカロテン、プロアントシアニジン、亜鉛・銅・セレン・マンガンが含まれています。健康保険の適応外で、1ヶ月約3,000円くらいです。積極的な治療ではありませんが、病気の進行を遅らせるものと期待しています。又、近々別の種類の薬剤が発売されるという情報もあります。

決定的な治療法がないとすると、予防はできるのでしょうか。

多くの研究から喫煙が加齢黄斑変性の危険因子であることが明らかになってきました。タバコの悪影響や喫煙の効果は長い時間かかって表れるので、タバコは少しでも早く止めるべきです。また紫外線も網膜を傷つけるので避けること。日差しの強い日には外出を控える、紫外線防止作用のあるサングラスや帽子、日傘で避けるなどの工夫をしてほしいですね。

カロチンの摂取量が少ないと発症しやすい傾向があるようですから、緑黄色野菜を多く摂るほうがいいでしょう。ビタミンC、ビタミンE、セレンなど抗酸化作用のある栄養素も多めにしたいものです。これらのことに気を付けていれば、高血圧や高脂血症などほかの生活習慣病の予防にもなります。

加齢黄斑変性は現状では有効な治療法はありませんが、変性部分が小さいうちに見つかれば、光凝固療法などの効果は高まります。やはり早期発見、早期治療が大切です。ときどき見え方を片目ずつチェックし、もし、視野の一部がぼやけたり、物がゆがんで見えたりした場合、年のせいなどと思わないで、受診していただきたいですね。

アムスラーグリッド(ゆがんで見えないかをチェックする線)

 

老眼鏡を使っている人はつけたままで、約33cm(マス目の間隔が5mmに見える程度に)離し、片目ずつ中央の白い点を見つめます。見えないマス目や線がゆがんで見えるところがあれば、その位置を記録し、受診してください。

       
     
           

古川中央眼科      

     

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